若い頃は、友達や家族と一緒に映画館へ行くことが多かった。
けれど、ここ数年は一人でいくことが多くなった。
観たい映画があると、まず朝早い時間の席を探す。
少し早めに到着して、ポップコーンとドリンクのセットを買い、準備万端でスクリーンへ向かう。
私は端の席が好きなので、人の少ない朝の時間帯は、なおさら席が取りやすい。
周りを見渡しても、早い時間のせいか、一人の方や、ご夫婦らしき方が多い。
最初は抵抗があった一人映画も、慣れてくると自分のペースで動けて、なかなか居心地がいい。
その場で感動を分かち合える人がいないのは少し残念だが、観たいものを見て、さっと帰れる気楽さも悪くない。
今はネットで、指定席もすぐに買える。
以前はレディースデーを狙って行っていたが、今は60歳を過ぎたので、シニアのチケットを買うと700円くらい安くなり、ポップコーン代が浮く。
涼しい映画館で一人で映画を楽しむ時間は、ちょっとしたご褒美だ。
そんな気楽さを感じる一方で、ふと母のことを思い出した。
高齢の母も、以前は一人映画を楽しんでいて、新作を観に行ったという話をよくしていた。
けれど最近は、ネットでのチケット購入や、映画館のモニター操作が難しくなり、『一人では買えないから』と足が遠のいてしまった。
私がチケットを買って、QRコードを送れないか試したこともある。
ただ、それを現地で出すのが難しいようだった。
映画好きだった母が、大きなスクリーンで映画を観られなくなったと思うと、少しさみしい。
話題の『国宝』も観せてあげたかった。
便利になった分、取り残されてしまった人もいる。
時代の流れとはいえ、やはり寂しさが残る。


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