アルバイト三部作の最後は、鎌倉駅前にあった喫茶店『ランプポスト』での思い出だ。
お店は、どこか懐かしい、少しレトロで落ち着いた雰囲気に包まれ、鎌倉という場所柄、
毎朝のようにコーヒーを飲みに来られる有名な俳優さんの姿もあった。
観光客や常連さんでひとたびお店が混み合ってくると、高校生の私も必死だった。
片腕にお皿を2枚、3枚と重ねて、手際よく働く店長を見ながら、その姿を真似てみたりした。
慣れてくると私も、右腕にお皿を2枚のせ、左手には重いトレーを絶妙なバランスで持って、料理を運べるようになった。
優しかったオーナーさんは、時々仕事が終わると、『お疲れ様』と、私たちを美味しい食事に連れて行ってくれた。
高校生の私を、ひとりの働く仲間として温かく扱ってくれたことが、本当に嬉しかった。
今はもう、駅前にあのランプポストの灯りはない。
けれど、コーヒーの香りと共に過ごしたあの大人びた時間は、
今も大切な記憶をとして残っている。


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